画像認識と作業分析(データアナリティクス)
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作業分析のための前提条件
作業現場のデータ分析におけるブラックボックス問題
製造・生産の現場でもデジタル化が進められていますが、組み立てや検査などの工程では手作業によるいわゆるアナログで行われている箇所が多くあり、ロボット化が進められたとしても”ヒト”の手に頼る領域は残り続けると言われています。そして今回のテーマはこの”ヒト”による手作業工程とデータ分析の関係についてです。
生産データの分析が生産性や品質の向上に必要であることは言うまでもありませんが、生産設備や機械、ロボットと違い、マニュアル作業工程からのデータ収集は容易ではありません。そのため粒度と頻度と精度において妥協しなければならない状態が続いていました。この理由は作業記録という行為が付加作業・サブ作業とされるからです。記録作業には当然ながらコストが発生するため、メインの作業と比べるとどうしても優先順位が低くなるからです。
その結果、本来必要な粒度(収集内容の細かさ)ではなく要点だけを、開始時と終了時といった大きい頻度で即時性ではなくバッチ処理的にデータが記録されることになります。精度についても、人間であるが故のミスやバイアスといった主観的な要素がデータに入ってしまうため信頼性という面では限界があります。これは表計算ソフトやそれに類する仕組みでデータ収集を行っていても同じことです。
このため精緻なデータ分析という観点からは、手作業、マニュアル作業工程はブラックボックスであると言われています。
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OEE(総合設備効率)ー Overall Equipment Effectivenessと手作業工程
OEEは生産設備の生産性を分析するための一つの指標で、設備の稼働率と生産能力、品質から算出されます。OEEを知ることで設備の稼働状況と目標との差と改善を加えるポイントを把握する事できます。機械設備であれば必要なデータの収集は比較的容易ですが手作業工程においては先ほどのブラックボックス問題により正確なデータの把握が簡単ではありません。
ブラックボックス問題に加えて手待ち時間の問題があります。これは各工程に設定される計画作業時間に作業中断などを考えて多少の余裕時間が設定されている場合があり、このため実際には手待ち時間が発生しているケースがあります。本来この手待ち時間は随時是正されるべきですが、そのためには結局のところ各工程にかかっている実際のデータを客観的に取得する必要があるため、結果的に是正が出来ず正確な稼働率とOEEの算出も難しい状況でした。
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手作業工程の進捗を客観的に判断できるセンサーはなかった
これまでは手作業工程の進捗を直接的に客観視するセンサーは存在しませんでした。様々なセンサーを駆使して物理的なアクションを捉えて意味付けをして作業結果として得ることはできましたが、視覚的な直接の確認方法と比べるとどうしても間接的な確認となってしまい限界がありました。その結果、大部分のデータ記録は作業スタッフの主観で収集され客観的なデータではない状況が続いていました。
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画像認識+デジタルがブラックボックス問題を解決する
ブラックボックス問題の解決
ブラックボックス問題の解決案として、スマートクラウスの導入があります。スマートクラウスは“作業手順の案内”と“画像認識による確認”を行うことで作業スタッフを支援すると同時に、作業の進捗を自動で記録してゆきます。この作業進捗の記録は完全に自動で、作業スタッフの追加作業を全く必要としません。あなたが必要と考える粒度と頻度をデジタルの精度で記録してゆきます。
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デジタリゼーションへの発展
製造業の将来像としてインダストリー4.0という概念がありますが、この中でデジタルスレッドの構築が重要な役割を担います。そしてデジタルスレッドの実現にはデジタルモデル、デジタルシャドウ、デジタルツインといった具体的な手段が有効とされています。このうちデジタルシャドウは、アナログの状況をデジタルに写像することを意味しており、これは正にスマートクラウスによるブラックボックス問題の解決と同時に達成されることなのです。